それが嘘ではないことは、前回の事件で知っている。

葵は、ほんとうに舞を憎んでるの?

「……ねえ。葵はさ、舞のことどう思ってるの?」

聞いてみた。変に疑うよりも、聞いた方がきっと詩音も納得できる。

葵は「なに、急に」と眉をひそめた。

直球すぎたかな……。

「えっと、ちょっと気になって……。」

「……別に。なんとも思ってないよ。」

葵がすこし間をあけて答えた。

なんとも思ってない。

……本当に?

「……あっ。いけない!詩音、ごめん!私、人と待ち合わせしてるから!」

「あ、うん!じゃあね!」

慌ただしく公園を出ていく葵。

待ち合わせって……誰とだろう。

気にはなったが、付いていくわけにもいかない。

詩音は家に帰ることにした。