ミーンミーン

季節は真夏。
蝉の声がうるさいくらい頭に響いている。

「楓。そんなところでぐでって伸びてないでお手伝いして頂戴」

お母さんの声を聴きながら私は寝たふりをする。

だってせっかくの夏休みなのに蔵の掃除なんてしたがるわけがない。

だから寝たふりを決め込んだのだ。

「こらっー!!起きろ!楓!!!土方家の血を引く令嬢がそんなはしたない恰好でみっともなく寝るんじゃない!!!!」

「うっるさいなあ。じいちゃん暑苦しい。」

私はじいちゃんの声にたたき起こされてむっとして起き上がる。

「楓!!大体な、お前はもう少し土方家の誇りというものをだな・・・」

「あーはいはい。掃除するからじゃーね!!」

私はじいちゃんの話を無視して走り出す。

後ろでなにか叫んでいるけど知らない。

私の先祖は土方歳三家計の血が入っているらしい。

だから私も一応土方家の子孫ということになる。

まあ、本当かわからないけどね。