「腕力はありそうだが、それだけじゃあだめだ」

 続いた言葉に目を丸くする。

 見ていないようでしっかりと見ていたのかと感心した。

 それでもラーファンは諦めきれない。

「でも、旅に出れば自然とそういうことも学べるのでは──」

「そうだな。ナシェリオくらいの腕ならば問題はないだろう」

 予想もしない名前にラーファンの目は大きく見開かれた。

「あいつの腕を知ってるんですか?」

「ちらっと剣舞を見ただけだ」

 剣舞とは、ただ舞うものではなく鍛錬の集大成だ。

 舞う者によって、その者の剣の特徴などが鋭さや優雅さといったものに表れる。