「彼らがどれだけ君を心配し、君の死に嘆き悲しんだのか解らないのか!」

「俺はお前のように優しくはないからな」

 違う、優しいのは君だ。

 人間という存在を諦めなかったから、この世界の不条理と残酷な面を認められなかった、認めることが出来なかったから君は絶望した。

 村から出なければ、君は優しい世界のままで生きられた。

 けれど、君は自分の希望は全て叶えられると信じて止まなかった。

 世界は容易く変えられるほど優しくあるのだと思っていた。

 君はあまりに──優しすぎたんだ。

 それ故に心を砕かれ、絶望し、何かを憎まずにはいられなかったんだろう。

 だけれども、これは間違っている。

「憎むことは間違っている」

「当然だろう! 俺の全てを否定した世界など何の価値もあるものか」

 お前が力を得るごとに、暗い地の底で俺を殺した世界への復讐心は大きく膨らんでいった。