友を失った自責の念は罪を背負い続けることで自身の償いとしようとした。

 それが間違っていることも、彼は充分に解っていたのだ。

 それでも拭い去る勇気はなかった。

「何かに執着していなければ、辛いのでしょう?」

 その言葉は精神的にというだけではない事を意味している。

 やはり知っていたのかとエスティエルから視線を外し、忘れようと心の奥に追いやった記憶を呼び覚ます。


†††


 英雄と呼ばれるようになっておよそ百年後──馬の背に乗り草原を歩いていたときのことだ。

 空から大きなはばたきが聞こえ剣の柄に手を添えてすぐ、眼前に見知った姿が降り立った。