「わたしはあなたを見定めにきた」

 繰り返された言葉に眉間の皺(しわ)はさらに深く刻まれる。

 なんの目的があってそうする必要があるのか。

「父はあなたを信じているようだけれど、わたしは父とは違っている」

「理由あってのことか」

 本人の意思など関係なく進められている事柄に、あまり良い気分にはなれない。

 今更、過去の英雄になんの用だというのだ。

「当然でしょう。父はこの世界を研究している学者だけれど、先を見通す能力にかけてはわたしに劣る」

「私が何かに関係していると?」

「あなたが必要か否か。それに足る者か否か」

「それでどうする」

 それに対する説明をするつもりはないらしい。

 女はナシェリオと心なし目を合わせただけで話しを続けた。