それで見つかったら、まず抱き締めよう。
今までの分も全部…全部取り戻せるように。
愛してる、と気持ちを伝えて。
きっと、笑顔になってくれるんだろう。
嬉しすぎて泣き出したとしたら、嬉しすぎる。
それから、深く、深く、甘く、蕩けるようなキスをして。
笑いながら、家に帰りたい。
それから、家に帰ったら優愛に夕飯を作ってもらいたいな。
シチューとかだったら俺も手伝えるしな。
夕飯を済ませたら一緒にお風呂に入りたい。
お風呂を出たら、体を適当に拭いたら、寝室のベッドに直行だな。
なんて、思っていると、いつの間にかついた。
キィ...
と、古びたブランコの音がする。
目を向けると、やっぱり。
優愛が、居てくれた。
ジャリ...
と、土を踏む音に気がついた優愛はこっちを向く。
途端、驚いたような顔をする。
「な、なんで海斗さんが…?」
昔は…、海斗さんじゃなくて、海斗だったのに。
「海斗。」
「え?」
「海斗って呼んでよ。
海斗さんなんて、他人みたいで遠く感じる。なんか、やだ。」