朝、瞼の上から日光が差して、私は目を覚ました。

目を開いたら直射日光が当たる。

う、光って怖い…

軽く目潰しをされた気分でベッドから這い出す。


初めてこの家に来た日から約一か月が過ぎていた。

いい加減、家事とかが身についてくる。

ミッションもまだ来ない。

さすがに頻度が多かったと、神様も反省してるんだろうか。

立て続けに人を殺すってきつい。

そもそも人を殺すこと自体、嫌だけど。

建前では退治なんて言ってるけど、こんなの人殺し同然。

次は誰を殺さなくちゃならないんだろう…


「ユイ!!おは!!」

「おはよ、セシル」


日頃から疑問なのは、セシルのテンションがいつも高いこと。

朝って大抵の人がテンション低いのに、セシルだけ異様に高い。

この元気は一体どこから来ているのか、色んな意味で心配。

私が難しい顔をしていることに気づいたセシルは、私の顔を覗き込む。


「ユイー、どうしたのー?おーい」

「どうもしない、どうもしない」

「んー、そ?」


特に気にする項目でもなかったのかセシルは前を歩いて行った。

いいな、自由人はやけに生命力があるもん。

私の前に後ろから人影が差す。

そしてその影が動き、私の左耳をつねった。


「痛痛痛痛!!」

「漢字並びすぎだろ。馬鹿に見えるぞ。」

「馬鹿で悪うございましたね!!」


フウトだった。

馬鹿じゃん、みたいな顔され鼻で笑われる。

ひどい、そんな露骨に馬鹿扱いしなくても…

その前に、フウトは私より頭悪いじゃんか!!

フウトの中学生の時の数学が15点だって?

ふざけてる。

私の方が断然いいもん!!

と心の中で抗議する。

口に出したら絶対耳ちぎられるし。

いや、ホントに。

くっそ、学力で舐められてたまるか…

思いっきり、フウトの足を踏みつけてやった。


「うわ、いって!!お前何すんだよ!!」

「仕返しに足を踏みつけました、悪しからず~。」

「悪しからずとか、ユイのくせに使いやがって…」

「嬉しい反応どうもありがとうございま~す(棒)」


私は一目散に逃げた。

留まってたらどうなってたかって?

半殺しの目に遭います。

片足を持ちあげて、ぴょんぴょん飛んでいるフウトを尻目に私は廊下を全力疾走した。