ダンデライオン

「と、と言うか…座ってください。

後、事情の説明もお願いします…」

私は椅子を用意すると、徳井さんに座らせるように促した。

徳井さんは椅子に腰を下ろした。

「あの、一体何の話なんですか?

そもそも、私と忍兄ちゃんにひどいことをしたって…」

そう聞いた私に、
「実は…私、浅井さんに片思いをしていたんです」

徳井さんが言った。

「えっ!?」

私は驚いた。

「私が就職した時、周りから“専務の妹”だとか“縁故入社”だとかって悪口を言われていたんです。

まだ新人だった私の教育係を先輩方に押しつけられるような形で、浅井さんが担当することになりました。

でも浅井さんはこんな私を“専務の妹”としてではなく、1人の人間として接して指導してくれました。

私は、そんな彼に密かに思いを寄せるようになりました」

徳井さんがそこで話を区切った。