それでも食べる気がしなくて、お父さんの分だけ作った。

私は椅子に腰を下ろすと、少しだけ温めた麦茶をすすった。

「おはよう、麻子」

お父さんが食卓に顔を出した。

「おはよう、お父さん」

麦茶をすすりながら、お父さんにあいさつをした。

「もう食べ終わったのか?」

私の食器がないことを不思議に思ったお父さんが椅子に腰を下ろしながら聞いてきた。

「食べてないわ。

夜中からお腹の調子が悪くて」

そう答えた私に、
「食い過ぎか?」

お父さんはたまご焼きを頬張った。

「だといいんだけどね」

私は首を振ってうなずいた後、麦茶をすすった。