分かってよ、健太…


もう気づいてよ、健太…


あたし、もう、健太を好きでいるの苦しいんだよ…


健太とこうしてるのも、叶わぬ夢をみてしまいそうで、辛いんだよ…






『健太、そういうことだよ?』


あたしは振り返って、健太に笑顔を見せる。


健太はあたしの目を見つめるけど、あたしは精一杯笑った。





『亜季の言ってること、分かんね…』



健太はそう言って、あたしの手を離す。




『じゃ…亜季との時間はいつ、とれんの?』


健太の真顔の質問に、あたしは首を横に振った。



『健太は由奈ちゃんのことだけ考えればいい。
 由奈ちゃんのことだけを一途に想ってればいい。
 もう、あたしに気を遣ってくれなくてもいいから』



幼馴染になるのは簡単。

幼馴染に恋をするのも簡単。


でも、

幼馴染から離れるのが、


幼馴染に失恋するのが、


こんなにも難しいものだとは思わなかったよ…。



『…亜季…』


健太はそう言って、俯いた。




『健太、せっかく早起きしたんだから、ここで由奈ちゃんのこと待ってれば?
 この辺くらいで、いつも由奈ちゃんと会えてたでしょ?』




でも、健太の言葉はなかった。




『じゃ、あたしはお邪魔になるといけないから、先に行くね』


あたしはそれだけ言って、健太をその場に置き去りにしていく。





だって、あともう少しで由奈ちゃんが来る。


きっと、由奈ちゃんは気にする。




それで、健太もまた困った顔をして。



あたしは胸を痛める。



難しさはたくさんあるけど、でも、あたしだって学習はするよ?


何度も何度も同じことにはしない…