艶麗な夜華

「キャーッ!!」



あたしを抱え、砂浜の上に倒れる恭也。



「いきなり上から飛びついてくんじゃねぇ!」



「あはははっごめん!


恭也、砂だらけになっちゃったね!


なんか恭也が砂だらけになるとか似合わないし!」



笑いながらそんな事を話していると、


恭也が急に妖艶な目つきであたしを見る。



そしてそっと頬に手を触れ、


ゆっくりと体を引き寄せた。



「沙希……」



「恭也……」



耳元で優しく呼ぶその声に心臓が反応した瞬間───




「笑ってんじゃねぇ!」



そんな言葉と共に上下が逆さになり、



「うわ~っ!!」



目の前にはあたしをにらみ付けている恭也。




「だよな~俺が砂だらけになるとか似合わないよな~」



迫力のある低い声と不機嫌顔を目の前に、


しどろもどろになってしまうあたし。



「あ、あ、え~と…ご、ごめんなさい!


お、怒ってるよね……?」



顔を引きつらせるあたしを見て恭也は吹き出す。



「プッ!はははっこんな事で怒るかよっ。


ちょっとした仕返しだ。


それにしても、此処まで服の中も靴の中も砂だらけになると、


もうどうでもよくなる」



砂浜に仰向けになった恭也。



月に照らされた横顔はやっぱり美しく、


すっと伸びた手に包まれる体は、


何度抱きしめられても足りる日なんて来ない。