艶麗な夜華

あたしはフロアで女性客と話す恭也を見た。



酔って足元がおぼつかない彼女の腰に手を回す恭也。



マスターは笑みを浮かべたまま話を続ける。



「俺は恭也に言ったさ。


どうしてホストをやろうと思ったんだって。


そうしたらアイツはこう言った。


とにかく1分でも1秒でも早く金を稼ぐ必要があるってね」




恭也の目的はわかった。


お金お金と言われ続け、


なんとしてでもそのお金を返したかった恭也。


それは恩返しとかそういうのではない。


でも、どうしてそんなに急ぐ必要があったんだろう?


一流企業を辞めてまで。




マスターは煙草の煙をゆっくり吐くと、


少し険しい顔をする。



「一流企業で働いていたアイツの給料は良かった筈だ。


いずれ昇給だってしただろう。


でも、恭也にはそんな時間がなかったんだよ」



「どういう……事?」




「親父に癌が見つかり、


1年持たないと医師に告げられたのさ」