艶麗な夜華

「恭也……」



「ただ、また誰かがタクミによって苦しむのを見るのは、


気術ないからな」



「どういう意味?」



「心苦しい。


それを止めれるのが俺なのであれば、


やるしかねぇだろ」



「そうだね」



恭也はダスターをテーブルの隅に置くと隣に座る。



「悪かったな沙希」



「えっ?」



急にそんな事を言いだす恭也に首を傾げた。



恭也は静かな声で話し始める。



「お前には随分冷たくしちまったな。


お前があの日、ずっと俺の傍に居てくれたから、


俺はバカな考えを起こさないで済んだのに……」



「でもあたしは、恭也の傍に居る事しかできなかった……」



「それでよかったんだよ。


だけど、この店を出すと決めた俺は、


お前の優しさに甘える訳にはいかなかったんだ。


少しでも気が緩む瞬間があっては……駄目だったから。


お前に冷たくする度に、


何度も心の中で願ったさ。


頼むから俺の傍を離れるなって。


俺の中で、その時すでにお前は……


居なくなられては困る存在だったから。


はははっ矛盾していて笑えるな」