艶麗な夜華

恭也は窓を閉めると低く音楽をかける。



「ねぇ恭也?」



「ん?」



「ありがとうね。あたしの事迎えに来てくれて。


本当、嬉しかったよ。


って言っても、正直あの時は驚いてそれどころじゃなかったんだけど……


それと!お店の完成おめでとう!」



恭也はチラッとあたしを見ると笑顔で答えた。



「あぁ」



それから10分。



辿り着いたのは、街からずっと離れた場所にある静かな高台。



「海でもよかったんだけど、


お前のその靴じゃあ砂が入って仕方ないし、


山はまだ寒いだろ」



エンジンを止めると車を降りる。



「ねぇ恭也?この車ってそんなに高いの?


高そうなのはわかるけど……」



あたしは近づいたり離れたりして車を見る。



「ははっこれを買った時は、


まさかこんなに金をかけて店を新しく出すなんて思ってもみなかったからなぁ。


バカみたいにこの車に金を使った事をついさっきまで後悔してたけど、


お前の役に立てたみたいだから、


まぁいい」



「えっ…」



「なんだよ?」



「いや、なんでもない。


そ、それで?いくらなのこの車?」



「教えるかよ」



「もしかして500万円くらいするとか?」



あたしの言葉に急に吹きだす恭也。



「ブッ!」



「そんなにはしない?」



後ろを振り返ると、


恭也は残念そうな顔をしている。



「お前の目にはそんなくらいにしか見えねぇのか。


あのな~500万なんかじゃ買えねぇよ。


この車を半分にぶった切ったとしても、


その片割れすら買えねぇ」



「えっ!!じゃあ……一千万以上するって事?」



「軽くなっ」



「はぁぁあああっ!!!!


こ、こ、此処に住んだ方が……」



「バカかお前は」



恭也は空を見上げると、


風でなびく髪の毛をかき上げる。