艶麗な夜華

全てが嘘で、全てがタクミに仕組まれた事で、


それでも彼女を好きな気持ちが拭い去れなかった翼の想いは切なく、


誰一人として言葉を口にする事はできなかった。



翼の目には今にも零れ落ちそうな涙が溢れ、


そして、それが悲しく落ちる。



「俺が自分の愚劣さに気がついた時には、


すでにブレイブの代表はこの世にいませんでした。


あの日、俺は1つの覚悟を胸に代表の自宅に行きました。


でも、代表が家から出てくる事はなく、


電話を掛けても繋がりませんでした。


その時にはもう……遅かったんです」



次々と流れる後悔の涙。


それにつられて涙を流すヤスに恭也がダスターを投げる。



「事情はわかった。


ただ、お前の身に起きた出来事や、


その心情は俺には関係ない。


翼」



「はい」



「俺は酷な事しか言わねぇぞ。


いいか、強くなれ。それ以外でお前が救われる方法はない」



悲しみや悔しさを誰よりも知っている恭也の言葉は決して酷なんかじゃない。



「はい!」




大きな泣き声で返事をする翼は、


きっと今よりも強くなって、


もう二度とこんな涙を流す事はない。