艶麗な夜華

「沙希?」



恭也がゆっくりとあたしの体から離れる。



「ん?」



「今日は少し、眠れそうだ。


送って行くよ。酒は飲んでない」



ふっと笑う恭也の笑顔に、


心の不安を取り除いて貰ったのはあたしの方だった。




駐車場から車を持ってくると、


店で待っていたあたしを呼びにくる恭也。



車に乗るとネクタイを緩め車を走らせる。



そして、いつもの恭也があたしに話し掛ける。



「そう言えばお前、ジュアン辞めてエレナに行ったんだって?


この前ジュアンの女が言ってたぞ」



「あっ…うん。


ちょっとやっぱり、どうしてもあそこの店は合わなくて……」



「いや、エレナはもっと合わないだろ?」



恭也の言う事はもっともだけど、


そう言われると少しカチンとくる訳で。



「どういう意味よ!あたしが貧相だって言いたい訳?」



ムキになってそんな言葉を口にしていた。



「そこまでは言ってないだろ?」



「そ、そうだけど……毎日ホステスさん達にそう言われるからつい……」



「フッそれは気の毒だな」



「他人事みたいに!


でも、みんななんか凄いんだ。


付けてるアクセサリーも、持っているバッグも……


あたしは元々そういうのに興味ないからほっといて欲しいんだけど、


高級クラブに安物付けてくるな!とか言われるし、


毎日歩いて出勤している事をバカにされるし、


日曜日の10周年記念パーティーには、


みんな彼氏とか足に使ってる人とかから高級車で送り迎えして貰うとか言って……」