艶麗な夜華

恐る恐る中を覗くとカウンターに恭也の姿。



ヤスとキンは居ない。



「お疲れ様……」



静かに声をかけ中に入ると、


こちらを見る事なく恭也が話す。



「今日は早目に終わったんだ。


1人で考えたい事がある」



そう話す恭也の口調に全く力はない。



「ねぇ恭也?大丈夫?なんか……


考える事が多くて疲れてるんじゃないの?」



隣に行くとその場に立ち上がった恭也。



「別に疲れてなん…」



「ちょっと!」



グラッと傾いた恭也の体に手を伸ばす。



「悪い、ちょっと飲み過ぎただけだ」



カウンターの上にグラスはないし、


お酒の匂いなんて一切しない。



「嘘だ!ねぇ恭也?ちゃんと寝てる?ご飯食べてる?」



「こんな事で不眠になってメシが食えなくなるような精神力じゃ、


この先思いやられるだろ」



恭也はあたしの手を払うと椅子に座り、


倒れるようにカウンターに突っ伏した。



振り払われるのはいつだって悲しくて、


でも今は心配の方がまさっていて。



「恭也1人で全部抱えて、


みんなの前では平然として、


そんなの辛過ぎるよ……


不安だっていっぱいあるだろうし、それに…」



あたしが話している最中で言葉を口にする恭也。



「俺が不安を口にする訳にいかねぇだろ。


それは他の連中を不安がらせる事になる」



その言葉を聞いて、恭也の不安を知った。



「あたしにだったら言ってもいいんじゃないの?


あたしは…」



恭也はカウンターから顔を上げると、


鋭くも力無い目であたしを見る。




「悪いけど1人にしてくれないか?


今、お前のそういうのがウザいんだよ……」