艶麗な夜華

絶対にあたしの周りでは起きないそんな出来事。



「あっ、そういえば名前教えてもらってもいいですか?」



「まだ言ってなかったね。


あたしはソラ。よろしくねっ!


じゃあまた明日!」



スタスタと歩くソラさんの後ろ姿を見つめ、


あたしは恭也の言葉を思い出した。



"アイツは俺の手に届くような女じゃないよ"



不倫をしていたヒカリさん。


そんな彼女を心の何処かで軽蔑してしまう。


恭也にあんな言葉を言わせるような人には思えない。



トボトボと歩きながら、


少しの憂鬱感がどんどん大きくなっていく───



たしかにそれは不倫だった。



でも、それを貫き通し結婚までした彼女に、


その言葉は合っていない気がした。




本当は、彼女を軽蔑なんてしていないんだ。



ただそう思う事で、


彼女を悪く思う事で、


恭也が言ったあの言葉を消化しようとしていた。