艶麗な夜華

お客さんに聞こえないようにさりげなく注意するミサさん。


でも、その口調は結構厳しいものだった。



「髪の毛をさわらない!」



えっ?駄目なの?



「はい」



「姿勢が崩れてるよ!」



「あっ…」



「お客さんから見えなくても足は閉じる!」



「す、すみません」



「煙草の火をつける時は、


お客さんの顔の前でつけないの!」



なんだか駄目なところばかりで、


完全に落ち込んでしまったあたし。



でも、落ち込んでいる暇なんてないくらい、


お客さんと会話をしながらもやる事はたくさんある。



「話に集中するのはいいけど、


周りもちゃんと見て!


隣のお客さんのお酒なくなってるよ!」



「はい」



そんな初歩的な事すら、


緊張のあまりできなくなってしまうあたし。



注意されないようにしなきゃ!



今度はグラスに集中。



そして目の前のお客さんのお酒がグラスの半分以下になり、


透かさず手を伸ばす。



「ちょっと沙希ちゃん!


そのお客さんからは、


お酒を全部飲み切ってから作るようにさっき言われたでしょ?」



「あっ…」



見事に空回り……



「しっかりしてよ!」