近づく度に一歩後ろに下がってしまいそうになる足を踏ん張り、


震えてしまいそうになる声をなんとか出すけれど、


どうしても小さくなってしまう。



「あ、あの、面接に来た…広瀬沙希と申します…」



こんな挨拶が相手にいい印象を与える筈もなく、


完全に懐疑心を抱かせた。



「じゃあ、面接を始めますのでこちらへどうぞ」



そっけないママの口調に焦るあたし。



もっと、ちゃんとハキハキと話さなきゃ!



ボックス席に通され、


面接が始まる。



どんな事を聞かれるのかと不安に思いつつも、


最初にママが口にした言葉は、


あたしに対する質問ではなかった。