艶麗な夜華

「こんな恭也……1人にできる筈ないよ……」


恭也に触れる手にギュッと力を込めた。


「駄目だ……」


「恭也っ」


「今の俺じゃあ……まともにお前の好意に……甘えてしまいそうだから」


小さく震える体と声。


いつだって強気で、

弱いものを好まない恭也。


でも今は、凄く弱くて小さくて、とても……頼りない。


「そんなのいいに決まってるよ!

そんな事気にしな…」


「それに……俺の傍に居る事で、ますます深入りされるのは迷惑だ」


言葉と矛盾して抱きしめるその腕の力は強く、


あたしを離そうとはしない。



だからあたしは……今から不可能な約束を口にするんだ。


「いつもの恭也に戻ったら……忘れてあげるよ。

全部全部、忘れてあげるよ!

恭也の涙も、この感触も、今、こうしている事も全部忘れるから。

だから……なにも心配しないで。

恭也がいつもの恭也に戻るまで……

あたしがずっと、傍に居るから」