艶麗な夜華

「帰れ」

「………」


前髪の隙間から見える赤く鋭い目は悲しく、

手を振り払い椅子から立ち上がるその人は、

あたしが知らない恭也。

床に散らばったガラスを踏みつけ、

ドアに向かって歩き出す。


ガチャ


鍵がかけられた音が店に響き、

こちらに向かって歩いてくるその人に表情はない。


荒く掴まれた腕。


脇に置いたバッグが迎えの椅子に放り投げられ、

突き飛ばすように押し倒された体。


そして、次々と外されていくコートのボタン。


「今の俺はお前になにをするかわからないって言ったよなぁ?」