艶麗な夜華

そんな事、彼にだってわかった筈。

けど……彼にとって恭也が最後の砦だったとすればそれを拒否された以上……


───白旗を揚げるしかなかった。


スタッフルームを出ると、

フロアに居たボーイに声をかける事なく店を飛び出す。




最後に彼が恭也に言った言葉……


"お前みたいな強さが欲しかったよ"


あの時店を出る彼の背中を見ていた恭也の顔は不安に満ちていて、

でも、きっとこんな事になるとは思っていなくて、

今、彼の訃報を知った恭也は……。


結衣さんが死んだ時、

一度もタクミさんを責める事をしなかった恭也。


結衣さんが愛した人を責める事も恨む事もできないのであれば……

ブレイブの代表が死んだ事を、

恭也は自分のせいだと責めるの?


店に向かう足は何処までも急ぎ、

消えた看板の前に立つとドアに手を掛ける。