あっさりそう言うとカウンターの中に入って行く恭也。


ヤスは悔しさで顔を歪めながら下を向き、

そして静かに口を開く。


「なんだよそれ……ふざけんなよ」


「ヤス!」



こんな事を恭也に言うヤスは、

きっとなにかを覚悟していて。


「んあ?なにか言ったかヤス」


静かだからこそ、真顔だからこそ今の状況が怖くて。


「恭也さん、いつから恭也さんはそんなダサい人になっちゃったんですか?

あぁ~そっか、結衣がいなくなってからかっ」


「ちょっとヤス!」


いくら止めようとしても駄目で。


「お前、どういうつもりで俺にそんな事を言ってるんだ?」


「どういうつもりもなにも、


ただ思っている事を口にしているだけですけど?


タクミに操られて、律儀に1年以上も毎日百合花の見舞いに行って、


別にそれは百合花を思っての行動ではなく、


また誰かが自分の目の前から消えるのが怖かっただけだ。


まぁそれも、タクミの思うツボだった訳だけど。


ダサすぎてこれ以上ついて行くのも躊躇しますよ」