艶麗な夜華

病院へ着いたと同時に電話が鳴る。


画面には"翔"の文字。


今着いたっつーの!


電話をサイレントに切り替え病室へ向かう。


「来たよ!」


ベッドの上で不安そうにスマートフォンの画面を見つめる翔は、

帰りの遅い飼い主を待つ犬のよう。


「沙希~!遅いよ!」


「いやっ、早いだろ!


っていうかどうしたの?」


大袈裟な翔の事だから、


きっとそれはアホらしい内容。


「あのさ俺、彼女に振られたんだよ!」


ほらね。


アホらしい内容って言うより、


あたしにそれを話す翔はアホ。


「知らない!あたし帰るね」


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ沙希ちゃん!」


「なんでそんな話をあたしが聞かなきゃいけないのよ!」


「そ、それはそうだけど、


沙希にしか話す人居ないから……」


お前にとってあたしはどんな存在なんだよ!


「それでなに?話を聞けばいいの?」