艶麗な夜華

「少しの嘘と演技……か……


なんか、この仕事をしていると……


自分が嫌になってしまう……」


愛華の言っている事が間違っているなんて思わない。



本当は"違う"と思っていても首を縦に振り、


つまらなくても笑顔を見せる毎日。



あたしもすでに嘘と演技で接客をしている。


「卑屈になる必要ないさ。


この仕事をしていなくたって、


人と関わっていれば嘘をつく事もあるし、


演じる時もあるよ。


人はみんな、100パーセントの自分でなんか勝負してないのさ。


それはそうと俺、今凄く落ち込んでいるんだっ。


ショックな事があってね」



一瞥し、ダスターでグラスの水滴を拭き取る愛華。


「あっ、ごめん」


「いいよ。


俺もねっ聞いちゃったんだ……さっき」


「ん?」


「沙希……恭也の事が好きなんだね……」


悲しい目を向ける愛華のそれは演技なのか本当なのかわからない。


「あっ……んーと……う、うん……


聞かれてたんだ……」


「ちょっと恭也に話があって店に行ったら、


沙希の声が聞こえてきてね」