艶麗な夜華

目の前に立つ恭也にようやく顔を上げる。


はぁ……


ため息が出るくらい綺麗なその人に、


こんな状況でも胸はドキドキして……。


「どけ」


「ねぇ恭也…」


「そこをどけ」


「あのねっ」


「聞こえないのか?」


「ちょっと待ってよ!」


思わず掴んだコートの袖。


冷たく引き離された手。


すぐに込み上げる涙は、


恭也を一層キツくした。


「女の涙ほど面倒でウザいもんはねぇ。


今すぐ目の前から消えろ」


肩に触れた手は、ドアの前に立つあたしの体を追いやる為。


「泣かないから!もう泣かないから!


だから……お願い恭也……」



───これ以上冷たくしないで。