艶麗な夜華

「そうか。恭也も気の毒な男だ」


「ん?」


「あれだけ好きになった女に……自殺されてしまうんだから」


一瞬にして鳥肌が立った。


恭也のあまりに悲し過ぎる過去。


いや……それは過去なんかじゃなく今も続いていて。


マスターは灰皿に煙草を押し付けると背もたれに寄り掛かる。


「自殺って……どうして……」


「好きな男に散々尽くして捨てられたのさ」


この前、"彼女と付き合えばいい"


なんて恭也に言ってしまった事を後悔した。


「恭也は……?それを知った時恭也は…」


「アイツは滅多に感情を表に出さないからな。


周りからすればいつもと変わらないように見えたかもしれないけど、


どれだけ悲しかったか。


恭也は、一度も結衣に自分の気持ちは伝えてなかったんだ。


アイツは結衣の相談役みたいなもんだったからな。


多分、自分の気持ちを伝えて彼女を混乱させたくなかったんだろう」