艶麗な夜華

カランカラン


「いらっしゃいませ」


カウンターで新聞を読むその人は、

背中を向けたまま中々こっちを振り返らない。


「あの……」


小さな声を漏らすとようやく振り返り、

顔を見るなり笑顔になるマスター。


「今日は1人?恭也は一緒じゃないの?」


「あっ、覚えていてくれたんですか?」



マスターは椅子から立ち上がるとカウンターの中へ入って行く。



「接客業だからね。


人の顔は一度見たら忘れないよ」



なんて得意気に話すけど、


客が来たのに背中を向けたままはどうかと思う。



「あの……今日はちょっと聞きたい事があって……」