艶麗な夜華

彼女の足が、どの程度悪いのかはわからない。


少しなら立っていられるのかもしれない。


でも、まったく歩けない筈の彼女が立ち上がる事なんて……。


それに、医者の父親にすら歩けない原因がわからない。


───彼女は歩けないフリをしている。


そう考えると原因がわからない事も納得できる。


そもそも原因なんてないのだから。


いろんな事を考えながら病院を出ると、


車を置いた恭也がこっちに向かって歩いてきた。


「恭也……」


なにかを言葉にしようとしたけど……


一瞥して無言で脇を通り過ぎる恭也に、


なにも話せなかった。