ギュッと目を閉じ恭也の反応を待つ。



でも……



恭也はなにも言わず、


しがみつくあたしの手を腕から引き離した。



あっ……



自分が言った事を後悔する。



こんな事を言わなければ、


恭也の優しさを感じたままでいられたのに───



溢れ出す涙に、


さっきとは違う胸を締め付けられる感覚。



"ごめん、変な事言って"



そう言おうとした瞬間、


恭也の手があたしの頭にそっと触れる。



えっ…




「随分弱ってるみたいだな。


体だけじゃなく……精神も。


今日は特別お前のわがまま聞いてやるよ。


だけどな、俺に惚れるなよ」



引き寄せられたと同時にしっかりとしたその腕の中におさまる体。




「きょう……や……」








甘い香りに包まれ、


熱に侵された体がますます熱くなり、


その首筋に思わずキスをするあたしは、


もうすでにこの人に惚れている。