「ねぇ恭也?」



車を走らせる恭也の横顔は、


さっきまで百合花さんに見せていた表情とはまるで違う。



「なんだよ」



「あの人って、恭也の彼女ではないんだよね?」



「あぁ。それよりお前、


なんであのバカの見舞いになんか行ってるんだよ」



「それは……来てって言われたから」



「バカはお前の方か。


いや、どっちもか」



信号が赤に変わり、


恭也はポケットから煙草を出すと火をつける。



「初めて見た……恭也のあんな優しい顔……」



つい、そんな言葉を漏らすけど、


恭也はなにも言わず信号が青に変わると車を走らせた。