艶麗な夜華

なにを話しているのかはわからない。



きっとそれはなにかの物語。



「そろそろ病室に戻ろうか?」



恭也は彼女に向かって優しくほほ笑み、


少しズレた膝の上のブランケットを掛けなおす。



「ありがとう恭也」



彼女の白く細い手が恭也の手に触れる。



"触るな!"なんて言葉は今の恭也の口からは出ない。



優しくほほ笑み、


彼女の手をそっと握り返す恭也。



あっ……



なんだか2人を見ているのが嫌で、


目をそらすと自動販売機の前に行った。




「百合花さん、院長からお話があるみたいだから、


一旦病室に戻ってくれますか?」



デイルームに入ってきた看護師さんが彼女に声を掛ける。



「お父さんが?」



「はい」




そういえば彼女の父親が医者だとか、


前にヤスが言っていた。


たしか、医者の父親にも彼女の体の事がわからないとか?