艶麗な夜華

冷え切った空気の中、


トイレ掃除が終わるとバッグとコートを手に持ち店を出る。


なにも言わない恭也の背中が遠く、


でも……別に近づく必要なんてないんだ。


外に出ると、ちょうど出勤してきたヤスとキン。



「おはよう沙希!」


「おはよう沙希さん」


最近あたしに暴言を吐かなくなったヤス。


笑顔を見せるようになったキン。


お金を払い終えたら、


この2人とも関わる事はない。


そう思ったら少し寂しくて、


恭也の言葉は悲しくて、


2人に笑顔を見せる事はできなかったあたし。



「仕事……頑張ってね」





それから数日後。


朝早くに翔からの電話。


「ちょっと沙希、あのさぁお願いがあるんだけど」


またそれ?


思わずため息が出るのも無理はない。


「はぁ…なによ……」


「俺、今入院しててさぁ」


「はあ!!なんで??」


一気にソファーの背もたれから体を起こすあたし。



「ちょっと足をね……骨折して……アハハッ」


「笑えないから!なんで骨折するのよ!」


「それがねぇ、仕事中倉庫を整理してて、


脚立から落ちちゃったんだよねアハハッ」