今からさかのぼる事、10分前。



「ねぇ翔!頂上からの景色最高だったね!」



「おう!」



「来年も紅葉見に来ようね!」




帰り道、久しぶりの翔とのデートに、


上機嫌だったあたし。



車の窓を開け、


目一杯自然の空気を体に取り込む。






「ねぇ沙希……」



風の音に紛れ、


あたしを呼ぶ翔の声。



「ん?」



窓を閉めると、


運転する翔の横顔を見た。