どうしてそんな事を聞いてきたのかがわからず、


呆然とするあたし。



"この仕事の女性はよくわからない"


なんて思っていると、


顔を覗き込んできたナナさん。



「ねぇ、カンナさんになに言われたの?」



「えっ、あぁ、お疲れさまって……」



とっさにごまかしてみたものの、


あきらかに疑いの目で見られている。




「それだけ?」




ナナさんの目を見て答えるのは難しく、


でも、目をそらしてしまえばごまかしているのがバレてしまう。



だからあたしは、


ナナさんの目を真っ直ぐに見て答えた。




「はい、それだけです」



でも……



「嘘吐くのヘタだね!


そんなんじゃあ、この仕事やっていけないよ!」




って……なんでバレたの?



「あぁ…ん、ん」



言葉にならない声を漏らすあたしを、


ナナさんはそれ以上追い詰めなかった。




「アハハハッ困ってる困ってる!


まぁ、正直なのはいい事だけど、


お客さんを喜ばせる為には、


上手に嘘を吐く事も必要だよ!」