今日の雅也さんは、嫉妬深くて、独占欲もある。普段落ち着いている雅也さんにしては、珍しく余裕のない焦りを感じた。

真島くんが転職してきたことで焦ってるのかな。

本当になんでうちの会社に転職してきたのだろう？


やっと私を解放してソファーに座った雅也さんは、泊まるのかと思いきや、20分後には腰をあげた。


「じゃ、帰るね」


「え…」


「ん、どうした？」


「泊まらないの？」


時間はまだ９時を過ぎたところだ。明日も仕事だけど、着替えは置いてあるから泊まるものだと思っていた。


「うん。実は、これから人と会う約束をしていて」


「これから？」


まだ早い時間だとは思ったけど、これから会うにしては遅いような気がする。誰と会うのだろう？

気になったが、真島くんのことを内緒にしている身で根掘り葉掘り聞くことを躊躇う。


「うん。紗菜は、風邪気味なんだろうから、早く寝なよ」