過去恋に今の鼓動を重ねたら

私の部屋に入ると後ろから抱き締められた。


「ま、雅也さん!」


まだ靴を脱いだだけで、場所は玄関だ。


「心配させるなよ」


「うん、ごめん」


「歓迎会って、真島くんのだろ?」


もしかして妬いているのかな?

こんなふうにされるのは初めてだ。


「うん。若月さんに誘われちゃって」


「若月か。…アイツ、強引だものな」


「うん。でも、ごめんね」


若月さんは、雅也さんと同期だから仲が良い。優しい人なんだけど、強引な部分がある。雅也さんも何度か強引に誘われた子とがあるそうだ。


「雅也さん、もう離して」


いつまでも玄関で抱きつかれていても困る。靴は脱いでいるから前に進みたい。


「うん」


返事は聞こえたけど、離す気配がない。


「紗菜。…他の男なんか見るなよ。俺だけを見ろよ」


「あ、うん。もちろん、雅也さんだけだよ」