過去恋に今の鼓動を重ねたら

「まあ、内緒にして、驚かせようとも思ったんだけどね」


「なんでうちの会社に来たの?」


「うん、それは…!


「あ、ごめん!ちょっと電話…」


私は、スマホを持って、端に移動した。雅也さんからの着信だった。


「はい」


「紗菜。具合はどう?…って、どこにいるの?まだ家じゃない?」


雅也さんの耳に賑やかな音が聞こえているようだ。


「あの、営業課の歓迎会に誘われてしまって…」


「え?どういうこと?なんで具合がよくないのにそんなとこにいるの?」


「あ、具合はもう大丈夫で…そろそろ帰ろうと思っていたの」


まだ一時間しか経っていないが、ここにいては雅也さんに心配される。やっぱり断れば良かった。


「どこにいるの?そこまで迎えに行くから」


「あ、うん…でも、大丈夫…」


電話を切った私は、急いで真島くんのところに戻った。