過去恋に今の鼓動を重ねたら

「おーい、河原さーん！待ってー！」


駅に体を向けたとき、背後から呼ぶ声が聞こえた。


「若月さん…」


営業課の主任である若月さんが大きく手を振りながら、近付いて来る。その後ろに営業課の社員が数人見えた。その中には真島くんの顔もあった。

呼ばれたからには止まるしかないが、何となく嫌な予感がして、立ち去りたい気分だ。


「今からさ、真島の歓迎会なんだけど、河原さんも来ない？真島の同級生なんだって？一緒に歓迎しようぜ」


営業課は、明るく気さくな人が多いが、若月さんは飛び抜けてフレンドリーな人だ。

しかし、営業課の歓迎会に私が？

同じ会社とはいえ、部外者だと思う。


「河原さん！行きましょうよ。いえ、行ってください！」


「え？いや、私は帰ろうとしていて…井川さん、離してもらえる？」


朱痢の同期である井川さんに腕をつかまれて、焦った。


「だって、今日、女性は私だけなんですよ。寂しいから一緒に来てくださいよー」