過去恋に今の鼓動を重ねたら

でも、雅也さんから何も聞いていない。雅也さんも私が知っていると思ったのかもしれない。


「真島さん。これ、名刺。名前、確認して」


「はい。ありがとうございます」


真島くんは、新しい名刺を雅也さんから受け取っていた。

何だか私だけが蚊帳の外にいる感じがする。一応同級生という立場で、課長や雅也さんよりも近い位置にいると思っていたのに…ちょっとショックだ。


「あと、これが保険証」


「ありがとうございます」


もう事務手続きはほぼ完了しているらしい。真島くんは、今日から同じ会社の一員。何とも複雑な気持ちになる。

課は違っても、同じ会社はら顔を合わせることも少なくないはずだ。現に、営業課の人は、出張届などを提出に来ることが多い。


「失礼しました」


用事が済んだ真島くんが出ていく。


「紗菜さん、大丈夫ですか?」


「え…何で?」


「なんか顔色が悪いですよ」