過去恋に今の鼓動を重ねたら

どうしたらいい？と思いながらも何も出来ずにいて１ヶ月経ったある日、真島くんがまたうちの会社に現れた。


営業課長と共に新任の挨拶に来たのだ。


「改めまして、こちらに入社しました真島圭司と申します。前職ではみなさまに大変お世話になりました。こちらで新たなスタートを送ることになりました。心を新たにして、精一杯頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします」


姿勢を正して、営業課長と総務課長の間に立つ真島くんは眩しく見えた。頭を丁寧に下げる真島くんに対して、歓迎の拍手が沸く。

しかし、私は開いた口が塞がらなかった。


「紗菜さん、ビックリしましたね。紗菜さんも聞いていなかったのですか？」


朱莉に声を掛けられても、私はバカみたいに口を開けたままだった。

なぜここにいるの？

どういうこと？


「河原。いい加減に口を閉じろよ。これからもよろしく」


「あ、うん。…びっくりした」