過去恋に今の鼓動を重ねたら

遅くなったけど、やっぱり返事をしたほうがいいかな。

雅也さんの隣でコーヒーを飲みながら、考える。


「紗菜。もう悩まなくてもいいよ。プロポーズも時期が来たら、改めてするから」


「時期が来たら?」


「まだ付き合って半年くらいだろ?だから、悩むのも当然だと思う。親父に言われて、つい急いでしまったけど、急ぐことはないと思い直したよ。悩ませてしまって、悪かったね」


雅也さんは本当に優しい。いつも私のことを考えてくれる。「よく出来た恋人」に自分が情けなくなるくらいだ。そんな「よく出来た恋人」に嘘ばかりついて、どうするつもりなのだろう。

自分のことなのに、傍観者のように考えてしまう。


「ううん、私こそごめんね。すぐに返事をしなくて」


「いいよ。今度プロポーズするときは、ちゃんと小道具も用意するから。楽しみにしていて」


「小道具?」


カップをテーブルに戻して、雅也さんを見る。