過去恋に今の鼓動を重ねたら

「二世帯の件は、断ったから」


「え?」


食事が終わって、コーヒーを入れている時、テレビを見ていた雅也さんが立ち上がって、近付いてきた。

入れたコーヒーカップを運んでくれる。


「親父から返事はまだかとせかされたんだ。紗菜はまだ悩んでいるだろうから、二世帯の話はなしにしてもらった。結婚するという話もしてないのに、いきなり二世帯と言われても困っただろ?」


「うん。ありがとう」


正直、かなり悩んでいた。曖昧な返事も出来ないし、私が返事をしないことでリフォームがストップしていることにもプレッシャーを感じていた。

だから、雅也さんから断ってくれたことには感謝する。

でも、あの時「結婚してくれる?」とプロポーズもされた。その返事さえもしていない。その事には触れないのかな?

二世帯を断ったから、結婚の話もなくなった?

私がちゃんと答えないから、うやむやになっているような。