過去恋に今の鼓動を重ねたら

「親父がたまに出張でこっちに来たときにさ、寝れるよう布団はあるんだよ。だから、そこで寝たらいいよ。部屋も別だから、気にしなくてもいいから」


「いや、気にしなくてもいいと言われても…私、終電で帰るつもりだから」


別の部屋といっても、ここに泊まるわけには行かない。だって、明日の朝9時に雅也さんが家に来る予定になっているから。

早朝に帰るという方法もあるかもしれないけど、寝過ごす可能性がなくはない。危険なことは出来る限り回避する必要がある。

酔っている頭を必死に動かして、明日のことまで考える。


「分かった。じゃあ、終電の時間まで飲もう」


「うん」


強引に引き留めようとしない真島くんに安心して、ビールを飲んだ。


「そうだ。アルバム持ってくる」


奥の部屋から真島くんが卒業アルバムを持ってきた。


「懐かしいなー。見るのも10年ぶりだな」


「うん、懐かしいね」