過去恋に今の鼓動を重ねたら

その時、食べ終わった皿を片付けにウエイターがやってきた。あとはデザートが出てくるだけ。


「河原だって、頑張って差を縮めてくれたじゃん?でも、抜けなくて悔しそうにしてた。だから、河原の為に抜いたんだよ」


「私が縮めたの、分かってたの?」


みんな真島くんの功績を称えていた。私も頑張ったんだけど…という少しやっかむ気持ちも出たけど、それはすぐに消えた。純粋に真島くんが凄いと思ったから。

だから、誰にも気付かれなくても良かった。


「もちろん。だって、河原にバトンが渡ってからずっと見てたもの。で、河原に縮めてくれてありがとうって、言いたかったんだけと、みんなに囲まれてしまって、言うタイミングを逃した」


真島くんは情けないという感じで首の後ろを掻く。


「わ、私もね、真島くんに直接ありがとうって言いたかった。でも、近づけなくて…」


同じ場所にいて、喜びを分かち合っていた。だけど、微妙に距離が空いていた。