過去恋に今の鼓動を重ねたら

あの時の感動は今でも鮮明に覚えている。


「俺、ゴールした時にさ、まず河原を探したんだ」


「え、あ…」


私はゴールした真島くんを見ながら、近くにいた友だちと抱き合って喜んだ。その時、真島くんがガッツポーズをして、こっちを見た。

クラスのほぼ全員がそこに集まっていたから、みんなに向かってしたのかと思った。だから、目が合ったのは気のせいだと思い込んだけど、あの時の真島くんの笑顔は本当に眩しかった。


「私がお願い!って、言ったから?」


「そう。だから、河原の為に1位になったんだよ」


「私のため?」


「そう、河原にお願いされたから、頑張ったの。分かってた?」


自分の為だとは思ってもいなかった。クラスの為に頑張ったのだと思っていた。私もクラスの為に頑張って走ったから。

でも、出来るだけ真島くんの負担を軽くしようと1位との差は縮めたつもりだった。


「ううん、分かってなかった」