過去恋に今の鼓動を重ねたら

そういう意味では雅也さんは貴重な人物ともいえる。


二人でゆったりと小さいソファーに座り、スマホを手に取る。だけど、その後の操作が出来なかった。雅也さんとの距離が近いことが原因だ。

肩だけでなく足までもが密着する距離で、横から少し覗けば多分画面が見えてしまう。


誰から何の用で連絡が来たのか見たいけど、見れない。もしかしたら、真島くんからかもしれないから。

やましいことはしてないと思いつつも、名刺をもらったことや、メールや電話をしたことを話していない。話さないことはやましいからなのだろうか…。

自分のことなのに分からない。


「そういえば、さっきの誰からだったか見たの?」


触れないでいたことを聞いてきた。忘れてないかと気にかけてくれるのは、雅也さんなりの気遣いであり、優しさだ。でも、その気遣いは今の私を困らせるだけである。


「あ、まだ見てない。えっと、誰だろう?」