過去恋に今の鼓動を重ねたら

「俺は絶対に二世帯がいいというわけじゃない。実は、俺も二世帯と言われて、初めて二世帯住宅のことを考えたんだ」


「そうなんだ」


「うん。でもさ、結婚したら住むところは必要だろ?」


コクりと頷く。確かに住むところは必要だ。


「その選択肢に二世帯住宅を入れてもいいと思わない?」


コクりと頷けない。少し首を傾げた。


「やっぱり紗菜は二世帯に反対?」


顔を動かすことでしか返事をしないから、雅也さんは不安そうな顔をした。


「それとも俺と結婚することは考えてなかった?」


「え?」


私は急いで首を横に振った。

結婚を考えていないイコール遊び。

そんなふうに言われたように感じた。


「ううん、考えたことはあるよ」


正直な答えだ。いつか結婚するだろうと初めて思えた相手だ。

なんといっても「よく出来た恋人」だから、「よく出来た旦那さん」にもなると思うし、雅也さんは結婚に向いている人だとも思う。

でも、結婚したらもう他の人とは恋愛出来ない。